人と気持ちよく過ごすために、話さないこともある

私の行く喫茶店には、ルールがある。

とても単純なルールで、政治の話と宗教の話はしない、というものだ。

なぜなら、どちらも話し始めると、一方通行になりやすいからだ。お互いに自分の考えを持っているため、いくら話しても平行線のまま終わる可能性がある。

もちろん、政治や宗教について語り合うことが、すべて悪いわけではない。お互いの考えを知ることで、新しい発見があることもあるだろう。

ただ、せっかく同じ場所に集まり、楽しい時間を過ごそうとしているのなら、わざわざ意見がぶつかりやすい話題を選ばなくてもいいのではないだろうか。

私たちは、何でも話し合えば理解し合えるわけではない。

ときには、話さないことが、お互いの関係を守ることにつながる。

喫茶店では、音楽の話をしたり、お花や庭の話をしたり、おいしい食べ物やお店の話をしたりする。

そうした何気ない会話の中に、楽しさがある。

誰かを論破する必要もなければ、自分の考えを相手に認めさせる必要もない。ただ一緒に過ごし、それぞれの時間を楽しめばいい。

人付き合いというと、相手を理解することや、違いを認め合うことが大切だといわれる。

それも確かに大切なことだと思う。

けれど、すべてを理解し合おうとしなくても、一緒にいられる関係があってもいい。

話すことを選ぶように、話さないことも選ぶ。

そんな小さな工夫が、心地よい人間関係をつくっているのかもしれない。

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