先回りしすぎて伝わらない──繊細な人が陥る“副音声地獄”というジレンマ

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)やうつ傾向のある人は、他人とのコミュニケーションにおいて「考えすぎる」ことがしばしばあります。

たとえば、人と話すときに──

  • 「ちゃんと伝わるように話さなきゃ」

  • 「誤解されたくない」

  • 「相手に嫌な気持ちをさせたくない」

こうした気遣いや真面目さから、話の背景や意図を丁寧に補足しようとします。しかし、その“副音声”がどんどん増えてしまい、結局、何が言いたいのかが見えなくなってしまう。そんな経験、ありませんか?

「結論から話せ」がわかっていても、できない理由

論理的に伝えるスキルは重要だとわかっていても、HSPやうつ傾向の人にとっては、それだけでは不十分なのです。

なぜなら──
自分の言葉が相手を傷つけていないか、不快にさせていないかが常に気になってしまうから。

だから話の背景や文脈を説明し、副音声で補足してしまう。そしてその副音声にもまた補足を加えてしまう。結果、話が長くなり、かえって伝わらない、という悪循環が生まれます。

「結局、黙っていた方がいいのかもしれない」

こうした経験を何度も繰り返すと、次第にこう思うようになります。

「話しても誤解されるだけなら、いっそ黙っていたほうがいいのかも」

でも、黙っているとまた言われるんです。

「なんで話さないの?」「何を考えてるのかわからない」

そしてまた、「伝わらない苦しさ」と「言えない孤独」のあいだで、堂々巡りが始まってしまいます。

伝え方の正解がわからない人へ

「黙る」も「話す」も、どちらも間違っているように思えてしまう。
でも本当は、どちらも正しい選択であって、どちらも“うまくいかない時がある”というだけかもしれません。

無理にうまく話そうとしなくていい。
完璧に伝えようとしなくていい。
副音声を重ねるのも、相手に尽くしたい気持ちの表れです。

伝わらなかったときは、「伝える方法を変える」だけでいいんです。あなたの中にある思いやりそのものが、すでに十分に価値のあるものだから。

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