人とは絶対に分かり合えない。それを前提に生きたほうが心はずっと楽になる

「どうしてこんなに頑張ってるのに、わかってもらえないんだろう…」「わかり合おうとして、逆に疲れてしまった」

そんなふうに、人間関係に疲れた経験はありませんか？

でも実は、人間は“分かり合えない”生き物なのです。 これは冷たい事実ではなく、心を守るために必要なスタート地点とも言えます。

最初から「人とは完全に分かり合えない」と思っていたら、無理に期待することもなく、過剰に深入りすることもなく、あなたの心を傷つけずに済むかもしれません。

この記事では、「分かり合えないこと」を前提にした人間関係の築き方について、宗教・家族・社会といった視点から考察していきます。

分かり合おうとするから、争いが生まれる

現代社会では「分かり合うことが大切」とされる風潮があります。SNSでも、政治でも、教育でも、企業文化でも――「相手の立場を理解しよう」「共感しよう」と声高に言われます。

しかしその“共感”の圧力が、時に人を追い詰めてしまうこともあるのです。

たとえばLGBTやジェンダー平等、多様性の尊重といったテーマも、本来は自由を守るためのもの。しかし、それを過剰に主張するあまり、**「理解しない人は悪」**とするような二項対立が生まれてしまうと、かえって新たな不自由さが生まれてしまいます。

“正しさ”は時代や文化で変わるもの。それなのに一つの「正しさ」を押し付けると、それは暴力になってしまうことがあるのです。

「あなたの言ってることはわかる、でも私は違う」この言葉を、もっと自然に交わせる社会であってほしいと私は思います。

私たちは「分かり合おう」とするあまり、知らず知らずに相手を自分の枠に収めようとしてしまうことがあります。でも、絶対に分かり合えないという前提に立てば、相手を“変えようとしない”関係が生まれます。

それは、干渉しない冷たさではなく、そっと置いておく優しさです。

だから私は、こう思います。

「人とは分かり合えない」と考えるほうが、実は本当の優しさに近い。

「人と分かり合いたい」と願うのは自然なことです。でも、まずは「分かり合えない」ことを前提にしてみてください。

そうすることで、必要以上に傷つかずにすみますし、相手との距離感をうまく保ちながら、人間関係を築くことができるようになります。

理解よりも、尊重から始める。これからの時代にこそ必要な視点です。

無理に分かり合わなくてもいい。あなたのままで、静かに心を守って生きていけばいいのです。