人間の体が、まだ解明されていないという現実
※この記事は、筆者自身の経験と考察、ならびに現在の医学研究の一般的な状況をもとに書いています。
治療方針や服薬、治療法の選択については、必ず主治医・専門家にご相談ください。
はじめに|なぜ、これほど治療法が乱立しているのか
うつ病について調べていると、誰もが一度は疑問に思う。
- 抗うつ薬には多くの種類がある
- 心理療法も複数存在する
- 運動、睡眠、食事、電気刺激治療まで話題に出てくる
それなのに、
「これを使えば必ず良くなる」という特効薬は存在しない。
これはなぜなのだろうか。
私自身はこう考えている。
うつ病に特効薬がないのは、原因がまだ完全に解明されていないからだ。
そしてそれは、
人間の体そのものが、まだ「分かった」と言える段階にないことと深く関係している。
人間の体は、まだ途中の存在である
現代医学は確かに進歩している。
しかし、人間の体と心について、すべてが分かっているわけではない。
脳、神経、ホルモン、免疫、自律神経。
これらは互いに影響し合い、非常に複雑な仕組みを作っている。
- 感情はどのように生まれるのか
- なぜ「気力が出ない」状態が続くのか
- なぜ数値が正常でも、つらさが残るのか
こうした問いに、医学はいまだ完全な答えを出せていない。
【体験談①】甲状腺機能低下症と「元気になる薬」
私は血液検査で甲状腺機能低下症と診断されたことがある。
診察の際、甲状腺科の医師はこう言った。
「よくこんな数値で動いてたね。あなたに元気になるお薬を出しますね」
正直に言えば、私は期待した。
これで少しは楽になるかもしれない、そう思った。
処方されたのはチラージン。
甲状腺ホルモンを補う、標準的な治療薬だ。
服薬を続けた結果、
血液検査の数値は改善した。
医学的には「問題なし」と言える状態になった。
しかし、体感としては——
うんともすんとも、何も変わらなかった。
元気になった実感も、
気分が軽くなった感覚も、特にないままだった。
数値が正常でも、苦しさが消えないという現実
この経験を通して、私は強く感じた。
人間は、
数値だけで動いている存在ではない。
- 検査結果は正常
- 治療は成功
- 医学的には問題なし
それでも、本人のつらさが残ることはある。
これは、
医師が間違っているわけでも、
薬が無意味だったという話でもない。
ただ、
人間の体と心は、それほど単純ではない
という事実を示しているだけだ。
【体験談②】TMS治療も受けたが、効果は感じられなかった
私は、薬物療法だけでなく、
**TMS(経頭蓋磁気刺激療法)**も受けた経験がある。
TMSは、脳の特定部位に磁気刺激を与え、
うつ症状の改善を目指す治療法だ。
薬が効きにくい人にも効果が期待されており、
実際に助けられている人がいるのも事実である。
しかし、私の場合は——
明確な改善や変化を感じることはなかった。
これは、TMSが無意味だという話ではない。
合う人には、確かに効果がある治療だと思う。
ただ、
「正しいとされている治療を受けても、効かないことがある」
それもまた、現実だ。
まだ見つかっていない「何か」があっても不思議ではない
ここからは推測になるが、私はこう考えている。
- まだ発見されていないホルモンが存在するのかもしれない
- 人によって不足する物質が違うのかもしれない
- 複数の要因が重なって、うつ症状が現れているのかもしれない
うつ病に特効薬がないのは、
軽視されているからではない。
原因が一つに絞れないほど、複雑だからだ。
特効薬がないからこそ、研究は多方向に進んでいる
もし、うつ病の原因が一つだと分かっていれば、
- 原因を特定し
- それを補う薬を作り
- 治療は一本化される
はずだ。
しかし、現実はそうなっていない。
だからこそ今、
研究者や医師たちは、あらゆる方向から同時にアプローチして頑張ってはいる。
脳内物質、ホルモン、神経回路、免疫、炎症、自律神経、心理的要因。
どれか一つが正解だとは、まだ言えない。
それでも、
分からないからこそ、研究は止まっていない。
おわりに|「治す」だけが、唯一の道ではない
原因が完全に解明されていない以上、
完璧な治療法が存在しないのは自然なことだ。
だから今は、
- 完全に治す
- 元の自分に戻す
だけでなく、
- 壊れない形で生きる
- つらさと共存する方法を探す
という選択が必要になる人もいる。
それは諦めではない。
現実を直視した上での、誠実な生き方だ。
数値が正常でも、
治療を受けても、
つらさが残ることはある。
それは怠けでも、気のせいでもない。
人間の体は、まだ未知の途中にある。
私は、そう思っている。

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