お菓子を貯める子どもの心理を深掘り:リス・キツツキ的本能と人間の安心感
お菓子を袋に貯めるのが好きな幼少期
私は幼稚園と小学校低学年の頃、自分がもらったお菓子を一切食べず、大きな袋にしまい込む癖がありました。ひもの付いた袋に入れてキュッと締めていました。
誰かに教わったわけでもなく、親から「食糧がなくなるから貯めなさい」と言われたこともありません。
それでも、私は「食べる」よりも「貯める」ことに、なぜか強い快を覚えていたのです。
幼稚園に行っている間に、弟がこっそりそのお菓子を食べていたそうなのですが、私は減っていることに気づきませんでした。
大切にしているようで、実はどこか無関心。袋にどんどんお菓子が増えていくことに、なぜか「心地よさ」を感じていました。
食べる目的もない。眺めるわけでもない。ただ、“そこにある”という事実だけで、私は満たされていたのです。
今思えば、ちょっとリスとかキツツキみたいだったのかもしれません。
この映像を見て、「あ、昔の私みたいだ」と思い出しました。
1. 原始的な「安心感」への欲求(リス・キツツキとの共通点)
リスやキツツキが食べ物を貯め込むのは「食料不足」という生存リスクに備えるため、安心を確保しようとする本能的な行動です。
しかし、人間の子どもは生存リスクを意識しているわけではなく、親に守られている状況でも同じような行動をとることがあります。なぜでしょうか?
ここにあるのは、物質による「原初的な安心感」の快楽です。
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自分の管理下にあるものが増えていくこと=“安心”の証
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将来の自分が困らないように備えている感覚=“先回りの心地よさ”
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不確実な世界で数少ない「自分のコントロール感」
つまり、リスやキツツキと同じく「未来に備えることで今の不安を和らげる」という行動に対し、脳が自然に快を感じている可能性があります。
2. 幼児期の「所有」と「コレクション」の心理
発達心理学では、3〜6歳頃の子どもに「所有欲」や「収集癖」が強く現れ、自己の輪郭を形成する役割を担うとされています。
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「これは私のもの」
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「私だけが知っている場所にしまう」
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「他人に取られたくないけれど使う気はない」
この行動は、まだ“自分”というものの確信が育っていない時期に、自分を感じるための補助線のような役割を果たします。
つまり、子どもにとってお菓子は“食べるもの”ではなく、「自分の感覚を確かめるための道具」だった可能性が高いのです。
3. 快の蓄積=「幸福感の先送り」
収集による快感は「消費」ではなく「蓄積」によるもの。
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蓄えることで幸福の“ポテンシャル”が増していると錯覚する(実際には使わない)
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「いつか使う未来」に幸福の幻想を置くことで、現在の不安を軽減している
このような脳のパターンは、ADHD傾向やHSP(繊細な感受性)、ギフテッド気質の人にも見られることがあります。
4. 深層心理的には「満たされなさ」と表裏一体
「貯めるけれど使わない」「所有はしているけど目を向けない」という行動の背景には、多くの場合、満たされなかった心の状態があります。
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それを癒そうと、視界から隠してでも“持っている感覚”を維持しようとする
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消費しないことで、“ずっとそこにある”という幻想を守りたい
つまり、所有=親密さ、消費=失う恐怖という感覚が脳内で結びついているのかもしれません。
まとめ:子どもの収集癖は繊細な脳の防衛反応
子どもの食べ物を貯める行動は、
「安心感」「自己感覚の確立」「未来への備え」「所有から得られる快」「失いたくない欲求」
が複雑に絡み合った自然で繊細な脳の防衛反応と考えられます。
これはリスの本能的な行動とパラレルであり、人間も生き延びるための“本能”と“心”が共存していることの証と言えるでしょう。
違法行為やゴミ屋敷化していない限り、その収集癖はあなた自身の大切な一部です。無理にやめる必要はありません。
私は、あの時感じていた“ワクワク感”を、もう今では感じることができません。
だからこそ、あの感覚が、今ではいとおしく思えるのです。
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