◆ よく言われる「目標を持とう」という励まし
うつ病や心の不調を抱えているとき、よくこんなアドバイスをもらうことがあります。
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「小さな目標を作って、それを毎日こなそう」
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「目的があると生きるのがラクになるよ」
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「ToDoリストを活用してみては?」
これらの言葉は、決して悪意ではありません。だけど──実際にやってみると、こう感じる人も多いのではないでしょうか?
「今日は目標どころじゃなかった」
「昨日できたことが、今日はまったくできない」
「リストを見るだけでしんどい」
◆ なぜ目標を立てても続かないのか?
うつ病をはじめとする精神疾患には、「日によって浮き沈みが激しい」という特徴があります。
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朝は絶望感で布団から起き上がれない
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午後には少し楽になって動ける
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夕方にまた気分が落ち込む
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予告もなく、予定が潰れる
この波がある限り、**毎日同じように目標をこなすこと自体が“無理ゲー”**なのです。
◆ 「できなかった」自分を責める負のループ
目標を立てる → できない → 自分を責める → さらに落ち込む
このスパイラルにハマってしまうと、目標を立てること自体がトラウマになりかねません。
そして何より、「目標を持てる精神状態」自体が、すでにある程度回復している人の話でもあります。
◆ では、どうすればよいのか?
✔ 「目標」ではなく「方向」だけ持つ
「今日は掃除をしよう」「今日は散歩をする」といった“具体的な目標”ではなく、
「きれいな環境で暮らしたい」「少しでも外の空気に触れたい」など、
ぼんやりとした“方向”を持つだけでも十分です。
✔ できたことを1つ書く
「今日は何もできなかった」と思っても、
・着替えた
・食べた
・洗顔した
どれか1つでもできていたら、それを書き留めてください。
目標に届かなかったことではなく、できたことに目を向ける練習です。
✔ 「立てない勇気」も選択肢に
そもそも、毎日目標を立てるのがつらい時期は、何も立てない日を作ってもいいのです。
「今日は何もできなくてOK」と決めて、その通りに過ごせたら、それも“成功”です。
◆ 終わりに:1日1日を生き抜くだけで、上等よ
うつ病を抱えながら、毎日目標を達成して生きるのは簡単ではありません。
むしろ、「今日は何とか息をしていた」「何もせずに生き延びた」──その事実だけで、あなたは十分に頑張っています。
ゴールのあるマラソンではなく、“終わりのない道”を一歩一歩進むような生き方でもいい。
そんな価値観を大切にしてほしいと思います。
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