うつ病と深呼吸—なぜ「息がスムーズにできない」のか?
うつ病の治療では「深呼吸をしてリラックスしましょう」と言われることがよくある。しかし、実際には「スーーーーーーーはーーーーーーー」と、普通の深呼吸がうまくできないと感じる人も少なくない。むしろ、「すーーすーーすーすすすーーふふうーーーーーーーー」など、呼吸が乱れてしまったり、息を吸っても吐くときに違和感を覚えることもある。
なぜ、うつ病の人は深呼吸がスムーズにできないことがあるのか?その理由と、少しでも楽になる方法を探っていく。
うつ病と呼吸の関係
うつ病になると、自律神経のバランスが乱れやすくなる。特に交感神経(ストレス時に活発になる神経)と副交感神経(リラックスを促す神経)のバランスが崩れることで、呼吸が浅くなったり、スムーズにできなくなることがある。
- 緊張状態が続く → うつ病では常にストレスを感じやすいため、呼吸が浅くなりがち。
- 無意識に体が強張る → 胸や喉の動きが制限されることで、深く息を吸うことが難しくなる。
- 息を吐くのが苦しくなる → 強いストレス状態では、「吸う」よりも「吐く」方が難しくなることがある。
こうした状態の影響で、「深呼吸してリラックスしよう」と思っても、息を吸うことはできても、吐くときに違和感が出ることがある。
深呼吸が苦しいときの対策
深呼吸がうまくできない時に、無理に「ゆっくり深く吸おう」と意識すると余計に呼吸が乱れてしまうこともある。そのため、次のような方法を試してみると少し楽になるかもしれない。
1. 「吐くこと」から始める
深呼吸というと「息を吸うこと」に意識がいきがちだが、実は吐くことを先にするほうがラクに呼吸できることがある。
やり方: ゆっくり息を吐いて、その後に自然に吸う。
「ふーーーーーー」と息を長く吐いたら、肺にスペースができるので、無理なく息を吸うことができる。
2. 「短い呼吸」からスタートする
「深く吸わなければならない」と思うほどプレッシャーがかかり、かえって呼吸が乱れることがある。まずは短い呼吸から始めてみるのも一つの方法だ。
やり方: 「3秒吸って、3秒止めて、3秒で吐く」を繰り返す。
負担が少ないため、気持ちが落ち着いてきたら、自然に深く息を吸えるようになる。
3. 「音やリズム」を使う
呼吸がうまくできないときは、リズムや音を意識するとスムーズになりやすいこともある。
やり方: 「好きな音楽のリズムに合わせて呼吸する」。
例えば、ゆっくりした音楽のビートに合わせて「吸う・止める・吐く」を繰り返してみると、意識しなくてもリズムが整いやすくなる。
まとめ
うつ病の人は、自律神経のバランスが崩れている影響で、深呼吸がスムーズにできないことがよくある。しかし、「深呼吸しなければならない」と意識すると、かえってプレッシャーになり、逆効果になることもある。
深呼吸を楽にするポイント:
- 息を吐くことからスタートする(先に肺を空けることで自然に吸いやすくなる)。
- 短い呼吸から始める(いきなり深く吸わず、3秒ずつでOK)。
- 音楽やリズムを活用する(リズムに合わせると呼吸がスムーズになる)。
深呼吸がうまくできないときは、「完璧にやらなくてもいい」という気持ちで、自分に合ったペースを探してみてほしい。
コメント