きらきらした世界が苦手なだけだった

――うつ病と誤解されやすい感受性について――

私は子どもの頃から、

きらきらしたものや、明るくて無垢な世界観が、あまり好きではありませんでした。

楽しそうなもの。

前向きで、元気で、笑顔でいることを求められる空気。

そういうものに、どうしても心が動かなかったのです。

だから長い間、

「自分はどこかおかしいのではないか」

「暗い人間なのではないか」

そんなふうに考えたこともありました。

けれど今は、少し違う見方をしています。

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暗いものを好む=病んでいる、ではない

廃墟、グリム童話、退廃的な物語、怖い歌。

欠けたもの、壊れかけたもの、滅びを含んだ表現。

それらに惹かれる感覚は、

必ずしも「病んでいる」ことと同じではありません。

それは

世界の影の部分も含めて見ようとする感受性

と表現したほうが、ずっと正確だと感じています。

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うつ病と「美的嗜好」は別のもの

うつ病は、

  • 気力が出ない
  • 興味や喜びを感じにくい
  • 日常生活に支障が出る

といった、状態の問題です。

一方で、

暗いものや退廃的な表現を「美しい」「誠実だ」と感じることは、

性格や感性の傾向に近いものです。

両者は混同されやすいですが、

本来は同じものではありません。

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子どもの頃から変わらない感覚

私の場合、

この感覚は大人になって突然生まれたものではありませんでした。

小さい頃から、

派手なものより、静かなもの。

明るい話より、少し怖さのある物語。

そうしたもののほうが、

「嘘がない」と感じていたのです。

後から病気になったから暗いものを好むようになった、

というより、

もともとそういう見方をしていた

その可能性のほうが高いように思います。

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影に惹かれる人の共通点(傾向として)

これは診断ではなく、傾向の話ですが、

  • 綺麗事に違和感を覚えやすい
  • 感情を過剰に表現しない
  • 物事の裏側を考える癖がある
  • 完璧さより、整合性を大切にする

こうした特徴を持つ人は、

「きらきら」より「影」に安心感を覚えることがあります。

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無理に明るくなる必要はない

うつ病と向き合っていると、

「前向きにならなければ」

「明るく考えなければ」

と言われる場面も少なくありません。

けれど、

もともと明るさを好まない人が、

無理にきらきらした価値観を受け入れようとすると、

かえって苦しくなることもあります。

静かで、重くて、少し暗い場所で、

ようやく呼吸ができる人もいるのです。

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これは「異常」ではなく「特性」

暗いものを美しいと感じること。

退廃に惹かれること。

影のある世界観に安心すること。

それは欠陥ではなく、

世界の一面を受け取る力なのだと思います。

うつ病と共に生きながら、

自分の感性まで否定しなくていい。

そう伝えたくて、

この文章を書きました。

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おわりに

もし、

「自分は暗いからダメなのではないか」

「病んでいるからこう感じるのではないか」

そう思っている方がいたら、

それは必ずしも事実ではない、

ということだけ、心に留めてほしいのです。

影を見つめられる感性は、

弱さではありません。

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