うつ病は甘え?──そう言われる家庭で育った人が、まず知ってほしいこと
「うつ病は甘えだ」
そう言われて、心が深く傷ついた経験のある人は少なくありません。
ですが、私の家庭では、
そもそも「精神科に通う」という前提自体が存在していませんでした。
精神科に行く人=頭がおかしい人。
通院するほどの状態=異常。
そうした価値観が、疑問を持たれることなく共有されていたのです。
「甘え」以前に、病院という選択肢がなかった
私の様子がおかしくなっても、
「精神科に連れて行こう」という発想は、家族にはありませんでした。
心配されていたのは、
- 医療費がかかること
- 受験に影響が出ないか
体調そのものではなかったように思います。
その結果どうなるか。
心も体も限界を超えるまで、病院に行けない。
これが、「精神科=異常」という価値観の家庭で起きやすい現実です。
初めて「おかしい」と気づいてくれたのは、家族ではなかった
高校生のとき、
私の異変に気づいたのは、保健室の先生でした。
「今度、精神科医のカウンセラーが学校に来るから、話してみたらいい」
そう言われ、1時間ほど話をしました。
そして、こう言われたのです。
「私の病院に来てください」
この一言で、私は初めて精神科に通院することになりました。
でも、通院は3回で終わった
理由は単純です。
親の理解がなく、医療費を出してもらえなかったから。
当時の私は、
- うつ病
- 甲状腺機能低下症(血液検査で陽性)
を併発していたのですが、
本来であれば投薬治療(チラージン)が必要な状態でした。
けれど、そこで治療は途絶えました。
おそらく甲状腺機能低下症が原因で一日中、半年以上、37度以上の熱がずっと出続けていたのですが、私の親は何の対処もしてくれませんでした。
娘の体調より、大学受験のことばかり口にしていました。
「うつ病は甘え」という家庭では、治療が続かない
これは私自身の経験ですが、
「うつ病は甘え」と考える家族がいる環境では、
安定した通院を続けることは非常に難しいと感じます。
多くの場合、その子どもは、
- 受診すべきかを一人で悩み
- お金が続くかを一人で考え
- 誰にも頼れない不安を抱えながら
- 精神科に一人で向かう
ことになります。
精神科の初診では、
家族関係やこれまでの経緯を、1時間ほどかけて話します。
付き添いがいなければ、
体調の悪い中で、それをすべて一人で説明しなければなりません。
これは、想像以上に消耗する行為です。
お金が理由で通院を諦めなくていい──自立支援医療という制度
ここで、どうしても伝えておきたいことがあります。
精神科の通院には、「自立支援医療(精神通院医療)」という公的制度があります。
この制度を利用すると、
精神科・心療内科の通院医療費の自己負担が、原則1割になります。
- 家族の理解が得られない
- 医療費を出してもらえない
- 経済的に不安がある
そうした人でも、
医師に相談し、診断書を書いてもらうことで利用できる可能性があります。
手続きは、医療機関や自治体の窓口で案内してもらえます。
「お金がないから行けない」と思っている人ほど、
一度、精神科の先生に相談してほしい制度です。
私は何も知らず、通院していた精神科医も教えてもくれなかったので、ずっと3割負担で通い続けてました。
この自立支援を利用するようになったのはほんとにごく最近です。
「うつ病は甘え」と言う人には、期待しないほうがいい
はっきり言います。
「うつ病は甘え」と言う人は、
あなたを支える存在ではありません。
理解してもらおうと努力すればするほど、
あなたのエネルギーは削られていきます。
これは断絶を勧めている話ではありません。
最初から期待しない、という自己防衛の話です。
- 頼らない
- 当てにしない
- 理解される前提で動かない
それだけで、心の消耗はかなり減ります。
まとめ:うつ病は甘えではない。甘えと言われる環境が、治療を遠ざける
うつ病は甘えではありません。
けれど、「甘えだ」と言われる家庭環境は、治療そのものを遠ざけます。
もし今あなたが、
- 家族に理解されていない
- 精神科に行くことを否定されている
- 一人で病院に向かう不安を抱えている
その苦しさは、あなたの弱さではありません。
それでも生き延びようとしている時点で、
あなたはすでに、十分すぎるほど現実と向き合っています。
20年経っても、私の両親の考え方は変わりませんでした。
だからこそ、うつ病と診断されれば家族が変わるかもしれない、という期待は持たないほうがいいと、私は思っています。

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