最近、SNSで「タンニングチェアでうつが良くなるかもしれない」という動画が流れてきました。リゾートのような雰囲気の中、紫外線を浴びてリラックスしている人の姿に、ちょっと興味を引かれたのです。
でも私は正直、「これはうつ病治療になるのかな?」と半信半疑でした。
早期の人には向いてるのかな?
今回は、この“タンニングチェアとうつ病”の関係について、医療的な視点からも冷静に考えてみたいと思います。
「日光を浴びると気分が上がる」は本当?
うつ病と深く関係しているのが、脳内物質セロトニン。このセロトニンは、日光を浴びることで活性化されることが分かっています。
特に、冬になると気分が落ち込みやすくなる「季節性うつ(SAD)」に対しては、**高照度光療法(ライトセラピー)**という治療法が存在します。これは、10,000ルクス以上の明るい光を目から取り入れることで、脳のリズムを整える科学的なアプローチです。
タンニングチェア=ライトセラピーではない?
タンニングチェアは、皮膚を焼くための**紫外線(UV-AやUV-B)**を主に照射する装置です。日焼けサロンなどでよく使われています。確かに紫外線にはビタミンDの合成や一時的な覚醒効果もありますが――
❌ うつ病治療に推奨されているのは「可視光線」であり、「紫外線」ではありません。
紫外線は長期的には皮膚がん・シミ・老化リスクを高める可能性があるため、医学的にはあまり推奨されていないのが実情です。
とはいえ、気分が晴れる人がいるのも事実
実際に、「タンニングしたら元気が出た」「気分が晴れる」と感じる人はいます。
その理由には以下のような要素があると考えられます:
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🔆 リゾートにいるような非日常感
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💡 身体への軽い刺激が交感神経を活性化
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☀ ビタミンDの増加による間接的効果
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😌 「ケアしている自分」への満足感
つまり、「気分が上がるように感じる」こと自体は否定しきれません。ただし、それは治療的な効果とは別の話です。
医学的に安全な「光療法」を選ぶなら
もし「光の力でうつ症状を和らげたい」と思った場合は、医師が推奨する方法を選ぶのが安心です。
✅ 代表的な方法
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高照度ライト(光療法ボックス)
→ 朝20〜30分、10,000ルクスの光を目から浴びる -
ビタミンDサプリメント
→ 血中濃度が低い人には効果的な例も -
自然光の中で散歩
→ 副作用がなく取り入れやすいセルフケア
まとめ:タンニングチェアは「気分転換」にはなっても、「治療」ではない
SNSではいろんな情報が流れてきます。なかには一見よさそうに見えるものもありますが、科学的な根拠と安全性を確認することが何より大切です。
でも、これで治ったら本当に安上がりでいい方法だなって思うんですよね。
ちなみに、私自身は晴れている日のほうが、うつの傾向が強くなることがあります。
「雨の日や曇りの日は気圧の関係で体調が悪くなる」とよく言われますが、人によってまったく違うんですよね。
だからこそ、「自分にとって心地よい環境」を探すことが大切だと思います。
すべての人に効く万能な方法はないからこそ、自分のリズムとやさしく付き合っていけたらいいですね。
なお、うつ病初期の方は医師の診断を早くに受けることが先決です。自分でなんとかしようとせず、早めの受診をおすすめします。
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