鬱患者はネガティブ志向のエリート――おすみつきを医者からもらった話
世の中には「ポジティブになれ」という呪いの言葉がある。
だが、鬱患者はその対極にいる――つまり、ネガティブ志向のエリートである。
これは単なる思い込みではない。なんと、医者から正式な「おすみつき」までいただいてしまうのだ。
「あなたは、ネガティブ思考の傾向が強いですね」
「ああ、なるほど。プロレベルのネガティブですね」
こうして診断されると、「やった!これで公式にネガティブでいられる!」という妙な安心感が生まれる。
自分では気づいていなかったが、どうやら私はエリート認定されたらしい。
ネガティブ志向のトップ層へようこそ
ポジティブ思考の世界では、「失敗しても大丈夫!チャレンジしよう!」と励まされるが、鬱患者の世界では事情が違う。
「失敗=世界の終わり」「チャレンジ=地獄への片道切符」くらいの認識なので、気軽に挑戦できるわけがない。
むしろ、ミスを一つするたびに徹底的に自責し、自己嫌悪のスパイラルに突入する。
この徹底した自己反省力は、もはやネガティブ界のトップ層といっても過言ではない。
一般的なネガティブ思考の人々は、「ダメかも…」くらいで済むが、鬱患者は違う。
「ダメかも…」のレベルではなく、「私は世界にとって不要な存在」くらいの極端な結論に達するのがプロの技術だ。
ネガティブ志向がもたらす妙な特権
しかし、ネガティブ志向にも妙な恩恵がある。
例えば、こんな場面。
🐾 「期待しないから裏切られることもない」
ポジティブな人は「きっと良くなる!」と期待するが、鬱患者は**「どうせ悪くなる」**と確信している。
結果、悲しいことが起こっても「ああ、やっぱりね」と冷静に受け止められる。
🐾 「世間の励ましに疑問を持つ力」
「ポジティブになればうまくいくよ!」という言葉に対し、鬱患者は**「それはお前の話だろ?」**とクールにツッコミを入れられる。
この冷静な視点は、もはや哲学者の領域だ。
🐾 「生存戦略としてのネガティブ」
ネガティブな思考は、実は生存戦略として優秀だ。最悪の事態を想定することで、慎重に動く力が身につく。
ポジティブすぎる人が「なんとかなる!」と無謀な選択をする一方で、鬱患者は**「なんともならないから最悪のルートを考えよう」**と準備をしている。
もはや、これは未来予知レベルの洞察力といえるかもしれない。
結局、ネガティブ志向はやめられない
医者に「ネガティブ志向のエリート」と認定されたからには、もうこの道を極めるしかない。
性格は変わらないし、鬱も治る保証はない。
それなら、このネガティブのエリート資格を活かして生き延びていくのも悪くないかもしれない。
世の中が「ポジティブこそ正義!」と叫ぶ中で、私はネガティブのプロとして今日も静かに生きている。
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