「わかっているのに、体が動かない」という現実
はじめに
「時間はお金で買えない」「今を大切に生きなさい」
自己啓発本や宗教の教えには、こうした基本で正しい言葉が数多く書かれています。
私自身、うつ病の状態の中で、自己啓発書や宗教の教えを何冊も読みました。内容は理解できますし、言っていることも正論だと思います。
それでも――回復しませんでした。
この記事は、「自己啓発や宗教が無意味だ」と言いたいわけではありません。それだけでは回復できない人が確かに存在する、という事実を書き残すための記事です。
うつ病の人は「理解していない」のではない
うつ病の人に対して、よくこんな言葉が投げられます。
- 気の持ちよう
- 考え方を変えればいい
- 前向きになれば動ける
- それは怠けだ
しかし実際には、多くのうつ病の人は**「正しいこと」をすでに理解しています。**
- 時間が大切なこと
- 行動すれば状況が変わること
- 体を動かせば一瞬で終わること
問題は「理解」ではなく、体と脳が追いつかないことにあります。
「体が動かない」は意志の問題ではない
うつ病になると、
- ぼーっとしたい
- いろいろ聞いても判断できない
- 一歩動けば済むことができない
こうした状態が続きます。
外から見ると「やればいいだけ」「一瞬じゃないか」と思われがちですが、本人はその“一瞬”を起こすためのエネルギーが存在しないのです。
これは怠けではなく、神経系・脳機能の問題です。
自己啓発や宗教が効かない理由
多くの自己啓発や宗教の教えは、
- 行動できる前提
- 判断力が保たれている前提
- エネルギーがある前提
で書かれています。
うつ病の人は、その「前提」が崩れています。そのため、どれだけ正しい言葉を読んでも、
- 行動に移せない
- 自分を責める材料が増える
- 「わかっているのにできない」苦しさが強まる
という逆効果になることすらあります。
「毎日考えているのに、できない」という現実
私自身、毎日こう考えていました。
- 今日こそ動こう
- これくらいできるはず
- できない自分はおかしい
それを毎日、毎日、毎日繰り返しても、体は動きませんでした。
この状態で「怠け」と言われたら、もうそれで終わってしまいます。
しかし、頭の中では病的なほどに体を再起動させようとする思考回路が常に動いています。
- お金がなくなれば生活できなくなる
- 社会から離れてしまう
- 再起が難しくなる
こうした現実も理解しているのに、体は動かないのです。
結論
うつ病には理屈は通用しません。
理解しているのに、体が動かない現実は、本人の怠けや弱さではなく、病気そのものの性質なのです。
もし「お金をたくさん出せば治る」と言われるのなら、私はためらわずに出します。
しかし、現実には、そのような治療法にはまだ出会ったことがありません。
TMS(経頭蓋磁気刺激)治療も、私にとっては残念ながら効果がありませんでした。

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