日本でよく耳にする「自律神経が悪い」「自律神経失調症」という言葉。疲れやすさ、めまい、動悸、不眠などの原因として診断されることが多いですが、この表現は実は日本独特のものだとご存知でしょうか?
私は医師ではないため詳細な診断はできませんが、カナダの医師が「自律神経」という言葉は日本独特の表現だと話していたのを聞いて気づきました。
ってことやで pic.twitter.com/0EFNgIUNbu
— レビル くん (@Odessa_Forever_) June 21, 2025
「自律神経が悪い」は医学的な明確な診断ではない
海外、とくに英語圏では、「autonomic nervous system dysfunction(自律神経系の障害)」や「dysautonomia」といった専門的な診断名が使われます。ですが、日本で日常的に使われている「自律神経の乱れ」や「自律神経失調症」といった曖昧な言葉はあまり一般的ではありません。
海外の医療は科学的根拠や明確な診断を重視します。曖昧さを嫌い、原因を特定しないと治療方針を決めません。だから「自律神経が悪い」というようなぼんやりした診断はほとんど使いません。
このため、海外の医療現場ではめまいや動悸などの症状があれば、まず耳鼻科、心臓内科、神経内科などの各専門分野で原因を詳しく検査・診断します。「原因不明=自律神経のせい」という単純な切り分けはあまりしません。
なぜ日本だけこんなに多用されるのか?
日本の医療現場では、不定愁訴や原因が特定しにくい体調不良に対して、「自律神経が悪い」という診断を使うことで、患者も医師も「何となく納得」しやすい環境があります。
これは患者にとって、症状の原因が分からず不安なままでいるよりは一歩前進となる場合もあります。病名がつくと安心する。しかし、根本的な病気の見逃しや、症状の長期化を招くリスクもあります。
また、「自律神経の乱れ」がストレスや生活習慣の乱れと結びつけられ、患者の生活改善や心身ケアへの意識を促すポジティブな側面もあります。
海外との医療システムの違い
海外では原因を追究するための検査や専門医受診が多い一方で、医療費の高さや保険制度の制約がネックになることも。日本のように安価に「自律神経失調症」と診断されて様子を見る形は少ないのです。
まとめ
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「自律神経が悪い」という表現は日本独特の文化的・医療的背景を持つ。
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明確な原因を特定しないまま診断されることが多いため、症状の根本解決につながらない場合がある。
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一方で患者の不安を和らげたり、生活習慣改善を促す効果もある。
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海外では原因特定を重視するが、その分医療費や受診環境がハードルになる。
日本の医療を理解しながら、自分の体調と向き合うための参考にしていただければ幸いです。
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