ポジティブな人々の謎――なぜ彼らはあんなに元気なのか？

世の中には、なぜかいつも楽しそうな人々がいる。
「明日が楽しみ！」
「人生なんとかなる！」
そんな言葉を笑顔で発する彼らは、一体どんな世界に住んでいるのだろう？

鬱患者の視点からすると、彼らはまるで異世界の住人だ。
不安や絶望に押しつぶされることなく、日々を軽やかに生きている。
これは、もはや「ポジティブの才能」なのではないか？

なぜ彼らはそこまで楽観的なのか？

ポジティブな人々は、どんな困難に直面しても「なんとかなる」と思っている。
いや、どう考えてもなんともならない場面ですら、その楽観的思考は揺るがない。

一方、ネガティブな人間は違う。
むしろ「絶対になんともならない」と確信している。
この根本的な価値観の違いこそ、ポジティブ vs ネガティブの永遠の対立の原因かもしれない。

では、なぜ彼らはそこまで楽観的なのか？
考えられる理由をいくつか挙げてみよう。

楽観的な性格は、ある程度遺伝の影響があるらしい。
つまり、彼らは「ポジティブ思考の選ばれし者」として生まれたのかもしれない。

「なんとかなる」と思えるのは、実際になんとかなってきた経験があるからかもしれない。
ネガティブな人は、「なんとかならなかった過去」が積み重なっているため、慎重になる。

ポジティブな人々は、楽観的な思考が強すぎるあまり、問題の深刻さに気づいていないのではないか？
「大丈夫！」と言いながら、自分が危機的状況にあることに気づいていないとすれば、それは逆に恐ろしい。

ここで、ふと思う。
もし「ポジティブ＝正常」「ネガティブ＝異常」という前提そのものが間違っていたらどうだろう？

そもそも、未来が不確実である以上、「なんとかなる」と信じているほうが現実を見誤っているのでは？
むしろ、ネガティブな人々こそ現実を正しく認識しているのではないか？

「生きていればいいことがある」――本当にそうだろうか？
鬱患者にとっては、それがただの幻想に思えることもある。
ポジティブな人々は、その幻想を信じ続けているからこそ、無謀な決断をするのではないか？

もしそうなら、「ポジティブ＝健全」という常識は、覆されるべきものなのかもしれない。

今の時代、「ポジティブこそ正義」とされている。
「ポジティブになれ」「前向きに生きよう」そんな言葉が飛び交い、ネガティブ思考はまるで悪者扱いされる。

しかし、果たしてそれは本当に正しいのか？
むしろ、ネガティブこそ人間の本質ではないか？

ネガティブな人々は、慎重に物事を考え、危険を避け、現実的な選択をする。
これは単なる「弱さ」ではなく、生存戦略なのだ。

もし今後、ポジティブ至上主義が崩壊し、ネガティブ思考が評価される時代が来たらどうだろう？
その時こそ、ネガティブ思考の職人たちが輝く瞬間なのかもしれない。

それまで、静かに準備を進めようではないか。
今日も、戦略的悲観を胸に、生き延びている。